環境保全における地域システムの役割
【研究分野】社会学(含社会福祉関係)
【研究キーワード】
環境政策 / 環境保全 / 河川流域 / 湖沼流域 / 森林管理 / 共同体 / ローカル・ノレッジ / 琵琶湖 / 霞ヶ浦 / コモンズ論 / ローカルな知識 / 伝承 / データベース / 矢作川 / 四万十川 / 淀川 / 熊野川
【研究成果の概要】
本研究は、激化しつつある日本国内や世界の環境問題を乗り越えるための社会システム的解決方法の確立に向けてのモデル構築を目指した。これまでの社会学、民俗学、人類学などが蓄積してきたモノグラフを、環境保全に関わる地域システムという観点で整理し、分析することを第一の目的とした。ことにこれまでの収集資料を有効に利用するため、河川および湖沼の流域社会を対象地域として1)本研究メンバーの研究を含む既存研究における、環境利用・保全等に関するローカル・ノレッジの資料を集積し、包括的な分析をおこなった。2)日本の河川流域、島嶼部、都市周辺を中心としたフィールドワークでの比較資料の収集をおこなった。3)これらの研究と併せて、中間技術を活かすことのできる、個別のコミュニティーを越える中範囲に適応可能な環境保全モデルを構築するための研究会を実施した。
これらは21世紀の環境問題研究と環境問題解決のモデル構築を、民俗学、人類学、社会学の民俗・民族誌的研究を整理し再利用することと、またそれらをフィールドワークの実践をとおして検証する試みであった。
本研究の結果、民俗学、人類学、村落社会学などで蓄積されてきたモノグラフを丁寧に分析することで、さまざまな形で蓄積されてきた地域住民の生活知のありようを、データベース化する可能性と方法についての方向性が見いだされた。ことに環境保全にかかわる日本の地域の知識と海外の日常生活の知識とを比較検討することを可能にする方法の創出については、業績リストにあるような多くの知見を得ることができた。
【研究代表者】