口腔癌におけるSlit/Roboシグナル作用機構の解析とバイオマーカーの開発
【研究分野】外科系歯学
【研究キーワード】
口腔がん / Robo1 / 口腔癌 / robo1 / 抗体医薬 / Slit / 臨床腫瘍学 / シグナル伝達 / バイオマーカー
【研究成果の概要】
口腔がんの有効なバイオマーカーの創出には至っていない。本研究は、近年神経発生における軸索誘導分子として知られるRobo1が、悪性腫瘍にも深く関わっていることに着目し、口腔扁平上皮癌に対する発現、作用を検証した。細胞株を用いたSlit/Roboシグナルの解析、また臨床検体を用いた発現様式について、mRNAおよびタンパク質レベルで解析を行った。悪性度によって発現様式が異なること、多段階での発癌過程において、Slit/Roboシグナルの調節機構の存在が示唆された。あまり知られていなかった口腔癌へのRobo1の発現と機能を確認でき、今後の治療戦略における標的となり得ることが期待される。
【研究の社会的意義】
口腔癌においてRobo1の遺伝子変異(欠失)の頻度が悪性度や予後に相関するとする報告はあるが、発現や作用はあまり分かっていない。一方でRobo1が癌促進因子としての作用を示唆する報告もある。本研究では複数の認識部位を有する抗Robo1抗体を用いることが出来たため、信頼性の高いデータ構築が行えた。加えて、今後改変した抗体作製や、トキシンなどの薬剤を付加することで、新規抗体医薬の創出も期待できる。また、Robo1によって、口腔癌の悪性化予測できれば、早期癌の診断にも有用となるバイオマーカーとしての可能性もあり、診断から治療にわたりtherapeutic windowを広げる潜在性を秘めている。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
阿部 雅修 | 東京大学 | 保健・健康推進本部 | 講師 | (Kakenデータベース) |
森川 鉄平 | 東京医療保健大学 | 医療保健学部 | 臨床教授 | (Kakenデータベース) |
浜窪 隆雄 | 東京大学 | 先端科学技術研究センター | 教授 | (Kakenデータベース) |
|
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2016-04-01 - 2020-03-31
【配分額】4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)