大規模コホート研究による口腔機能低下症の新規検査法開発研究
【研究キーワード】
コホート研究 / 口腔機能低下症 / 唾液 / メタボローム解析 / プロテオーム解析 / 咀嚼機能検査 / 人工知能
【研究成果の概要】
口腔の機能が衰えるオーラル・フレイルは要介護への入り口で,オーラル・フレイルに陥るとフレイルへの移行リスクや要介護認定リスクがいずれも2.5倍上昇することが明らかにされている.しかしオーラル・フレイルは,適切に対応すれば健常へと回復する可逆的な状態であり,オーラル・フレイルの早期発見や,発見後の適切な口腔管理法の開発が急務である.そのような中で2018年,各種検査からオーラル・フレイルを「口腔機能低下症」と専門的に診断・管理する一連の診療行為が保険収載されたが,これら7検査中の4項目以上で専用機器が必要であり,高額の装置購入や検査の煩雑性を考えると,多くの国民が簡便に受ける検査となることは難しく,検査結果のデータ統合も困難なことが予想され,さらには,検査後における口腔管理の判定指標が明らかでないという課題もあわせ持つ.そこで今回我々の研究チームでは,当大学が継続的に展開してきた大規模コホート研究と唾液メタボローム解析に着目し,1)非侵襲的かつ簡便に採取できる唾液から口腔機能低下症の早期バイオマーカーを探索して先進的検査法を開発すること,ならびに,2)口腔機能低下症診断後における口腔管理の効果判定指標ガイドラインに対する基盤構築を行うことを本研究の目的とした.
当該年度は昨年度と同様に,新型コロナウイルス感染症拡大の影響が懸念されたため,研究対象者の検索場所を拡大し,比較的新型コロナウイルス感染症による患者数増減が大きくない大学病院の歯科外来を受診している患者を対象に含め,臨床研究を行っている.また,2022年度はついに離島での調査研究が離島側と大学側から受理されたことから,離島健診で行われる予定の患者も含めてデータ採取を行う.
【研究代表者】