尿のオミックス解析による失禁関連皮膚炎発生メカニズムの解明と予防ケアの開発
【研究キーワード】
失禁関連皮膚炎 / 細菌 / 尿 / オムツ / 真菌 / マイクロバイオーム解析 / メタボローム解析
【研究成果の概要】
【背景】
失禁を有する高齢者における深刻な問題の一つに、尿便の皮膚付着により発生する失禁関連皮膚炎(incontinence-associated dermatitis, IAD)がある。IADは激しい疼痛や掻痒感から患者のquality of lifeを低下させるため予防が重要である。
IADの発生・悪化の主要因は細菌・真菌が尿素を分解しアンモニアを発生することによる皮膚pH上昇であると考えられているが、近年、細菌が培養されないにも関わらず強い臭気を伴う尿はIAD発生に関連することが明らかになった。これより、尿培養では検出されない尿中細菌・真菌が存在し、その細菌・真菌の分泌酵素や代謝産物を含む尿がIAD発生に寄与していると仮説を立てた。本研究の目的は、細菌・真菌による尿の成分変化がIAD発生をもたらすという新規メカニズムの解明、および尿中細菌真菌叢と尿成分の変化に着目した新たな予防ケアの開発である。
【本年度実施内容】
本研究は当初予定していた臨床調査の予備検討をin vitro系で実施した。オムツを使用している失禁者の尿サンプルを回収する方法として、オムツやパッド等の吸収性製品が一度含有した細菌含有人工尿を、吸収性製品より回収する手法の検討を行った。吸収性製品の小片を用いた検討では、吸収性製品をサンプル回収液に浸した状態で、ボルテックス実施後、遠心分離にてサンプル回収する方法が、サンプル尿中の細菌数が最も高く、回収率が高いという結果を得た。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究
【研究期間】2021-02-01 - 2024-03-31
【配分額】4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)