がん細胞内銅(I)イオンをマーカーとするsiRNAプロドラッグの開発
【研究キーワード】
銅イオン / siRNA / プロドラッグ / ルシフェラーゼ / 核酸化学 / 抗がん剤
【研究成果の概要】
本研究では、がん細胞内に高濃度に蓄積した銅イオンに選択的に応答して活性化するsiRNAプロドラッグを開発し、副作用の少ないがん治療薬の開発を目指している。
初年度である2021年度は、まず銅イオン応答型人工核酸の設計と化学合成から取り組んだ。チミジンの4位酸素原子に銅イオンによって除去可能な保護基を搭載した人工ヌクレオチドを化学合成し、DNA合成に適したホスホロアミダイト体へと誘導した。モノマーレベルでの銅イオン応答性を調べたところ、銅イオン源の添加によって効率よくチミジンに変換できることが分かった。また、他の金属イオンとはほとんど反応しないことも確認した。
続いて、合成した人工アミダイト体をルシフェラーゼのmRNAを標的としたsiRNAに導入した。当初はRNA合成中に人工塩基部分が分解してしまうという問題に直面したが、種々の条件検討により収率よく目的物を単離できるようになった。最適化した条件を用いて人工ヌクレオチドの導入位置が異なる複数のsiRNAを合成した。
ルシフェラーゼを安定発現したHeLa細胞に合成した銅イオン応答型siRNAをトランスフェクションし、ルシフェラーゼアッセイによってmRNAのノックダウン効率を評価した。銅イオン源を添加した場合に選択的なルシフェラーゼ発光の減弱が見られたことから、今回合成したsiRNAが設計通り銅イオン応答性を有していることが分かった。また、人工ヌクレオチドの導入位置によって銅イオン応答性が異なっており、配列設計の重要性も明らかとなった。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2021-04-01 - 2024-03-31
【配分額】4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)