細胞性粘菌由来の抗腫瘍因子DIFのレセプターの同定及び新規DIFアナログの開発
【研究分野】生物系薬学
【研究キーワード】
細胞性粘菌 / 分化誘導因子 / DIF-1 / カルシウム / カルシニューリン / 抗腫瘍因子 / 白血病細胞 / アポトーシス / インシュリン / Insulinoma細胞 / カスパーゼ / 抗ウイルス作用 / 抗腫瘍作用 / DIF / Xenopus laevis / 卵母細胞 / cAMP / Jarkat細胞 / Jac / Statシグナル伝達 / protein kinaseB
【研究成果の概要】
1-(3,5-dichloro-2,6-dihydroxy-4-methoxyphenyl)-1-hexanone(DIF-1)は細胞性粘菌D. discoidedeumの柄細胞分化誘導因子である。DIF-1は哺乳動物細胞に対して増殖抑制、分化誘導などの生理的作用を有する。この作用が起こる早い時期に細胞内カルシウムの上昇することが知られている。今回の研究では先ず、カルシウムイオンとの関連からDIF-1のレセプターの一つと考えられるカルシニューリン(CaN)に注目して、CaNへのDIFアナログの作用を解析した。DIF-1とDIF-2は低濃度(10-30nM)では直接カルシニューリンを活性化した。また高濃度(10-30μM)では阻害することを見いだした。またヒト白血病細胞K562細胞Akt/protein kinase Bの活性をDIF-1処理後を追跡したところ、30分から6時間にわたって経時的な活性化が見られた。そしてこの活性化には細胞内カルシウム濃度の増加が必要であった。インシュリンを分泌するinsulinoma細胞(INS-1)に対して、DIF-1は用量依存的に細胞死を惹起した。このアポトーシスはDIF-1はcaspase independent apoptosisであることを明らかにした。DIF-1が抗腫瘍作用ばかりでなく、in vitroでinfluenza virus A/PR/8/34の増殖を抑制することを明らかにした。しかし真菌(C. albicans, C. neoformas, A. fumigatus)や細菌(S. aureus, E. coil, P. aeruginosa)には作用しないことを見いだした。
【研究代表者】