三次元再生涙腺構造の誘導と新規バリデーション手法の開発
【研究キーワード】
涙腺 / ドライアイ / 再生医療 / 細胞外小胞 / シグナル伝達 / エキソソーム / 再生医学
【研究成果の概要】
涙腺は涙液を眼表面に分泌することで眼表面上皮の恒常性を維持する。涙液中には水分だけでなく、涙液タンパク、電解質、サイトサインなどの液性因子を含む。涙腺機能の障害による涙液量の低下は、涙液水分、液性因子の不足を引き起こし、ドライアイなどの眼表面上皮障害の原因となる。涙腺機能障害に対して、既存の涙液補充療法に加え、再生医療による涙液機能再生が試みられている。
これまで涙腺再生医療の実現に向けて、上皮幹細胞、間葉幹細胞を用いた三次元涙腺再生の手法の開発が求められており、マウス胎生期細胞を用いた技術開発が進んでいる。再生涙腺は、マウスへの移植により生着し、涙腺分泌能の改善を認めるなどの進展を見せる一方、今後の臨床応用には再生涙腺機能に対する新規バリデーション手法を確立し、再生涙腺移植の効果判定や安全性を判別することが求められる。
本研究では、三次元涙腺再生医療の進展を目指して、涙腺再生手法とその新規バリデーション手法の確立を目指して、今期、涙腺における液性因子のひとつである細胞外小胞の存在とその役割について解析をした。マウスより麻酔下において涙液を採取し、超遠心法にて細胞外小胞を分離し、電子顕微鏡下にて観察を行った。また、ウェスタンブロッティング法にて細胞外小胞マーカーの発現を確認した。さらに、マウス培養角膜上皮細胞に細胞外小胞を添加し培養したところ、角膜上皮細胞において恒常性にかかわる可能性が示唆された。
次年度においては、継続し涙腺より分泌される涙液の機能解析を進め、将来の涙腺再生医療における新しい涙腺機能のバリデーション手法の確立を目指す。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)