環境・災害の経済構造とその変動に関する研究
【研究分野】広領域
【研究キーワード】
災害 / 環境 / 塩害 / カザフスタン / 水資源 / 乾燥地 / 潅漑 / 中央アジア / 灌漑 / 地球環境 / アラル海 / バルハシ湖 / 砂漠化 / 放射能 / カザフ共和国 / 防災
【研究成果の概要】
本研究は、価値観が長期的に変動する場合の環境汚染・災害防止の経済理論を、国内公共投資と国際公共投資の面から理論的に開発し、長期的な環境汚染・災害防止の国際的経済政策を提示しようとするものである。本年度は、70年間にわたって秘密のベールに包まれていたソ連社会主義の環境汚染と災害の実態を、旧ソ連邦・カザフスタン共和国の環境災害問題を例にとって分析し、学際的国際協力のありかたを探った。
1950年代から開始された綿花栽培を中心とする中央アジアの潅漑農業は、早くも1960年代後半から砂漠化をすすめ、ユーラシア大陸最大の環境破壊を産み出した。その結果天山山脈とパミール高原からの水資源は乾燥地帯で蒸発し、アラル海を縮小し、地下水を汚染した。この事態に鑑み本研究では、(1)環境破壊と災害を生ぜしめた政治経済的構造を現地カザフスタン共和国の資料をもとに分析し、(2)その結果生じた健康影響について現地の資料をまとめ、アラル海と核実験場周辺を調査し、(3)乾燥化の発生メカニズムを分析するため、カザフスタン共和国農業科学アカデミーと共同して実験農場を確保し、長期的かつ国際的な調査体制を構築した。
これらの研究成果は、日本カザフ研究会(京大農学部)の調査報告書(裏面参照)などすでに各所で公表したが、現在出版を前提とした総合報告書を取りまとめ中である。
本研究は国際的にも注目を集めるところとなっており、とくにカザフスタン共和国科学アカデミー、同農業科学アカデミーは、京大農学部との共同研究体制を整えつつある。また平成5年度からは国際学術研究「中央アジア・カザフスタンの環境と経済の再生計画」として、カザフスタン、オーストラリア、アメリカ、ドイツなどの研究者と共に本研究を発展させる予定である。
【研究代表者】