多角的アプローチによる嗅覚情報伝達の総合的研究
【研究分野】神経科学一般
【研究キーワード】
嗅覚 / 神経 / 匂い / フェロモン / 情報伝達
【研究成果の概要】
日本の嗅覚研究は、匂いでは嗅上皮嗅細胞レベルから嗅球へ、また、フェロモンでは鋤鼻器神経細胞から副嗅球へ、そして、最終的には高次中枢、行動までを、生化学的、生理学的、分子生物学的なアプローチによって解析しており、欧米諸国の成果にひけをとらない。しかし、電気生理学、分子生物学、生化学、発生形態学など様々な領域の多角的なアプローチが必要な特殊分野であることが嗅覚研究の難しさの原因となり、多くの研究者が興味をもっているにも関わらず実際に取り組むことができず、分子レベルでの嗅覚メカニズムの解明は遅々としてきただけでなく、領域をこえた横断的連携が効率良くはかられてこなかったのが現状である。そこで、国内研究者の成果を正当に提唱し、世界的にも確固たる役割を担うためには、日本の嗅覚研究者が一同に会して研究交流をし、共同研究の可能性を企画調査し、オリジナルな研究の推進のための意見交流をすることが早急に望まれている。
平成13年9月8日に、班員研究室一同(約60名)が会した非公開の班会議およびセミナーを東京大学医学部で行った。班会議において、本領域の更なる必要性に基づいて、本特定領域発足についての議論をした。さらに日本国内の嗅覚研究の活性化をはかるために、平成14年2月23日に約120名の聴衆のもとに公開シンポジウム「多角的アプローチによる嗅覚情報伝達の総合的研究-今、嗅覚研究が面白い!神経から脳へ行動へ」を開催した。このように、基盤研究C企画調査によって綿密な事前調査を行って、特定領域立ちあげの緊急性および必要性について討議したのみならず、嗅覚研究に入ろうとする学生諸君に喚起を促し、嗅覚に関連する企業との産学連携の場を模索する機会を提供し、班員同士の刺激と領域の活性化を実現させた。
【研究代表者】