新規人工シナプスコネクターと再生環境整備による超回復―神経再生への新規治療展開-
【研究キーワード】
神経再生 / 脊髄損傷 / 神経回路 / 細胞外環境 / シナプス / 再生医療 / 細胞外マトリックス / 脊髄損傷・中枢神経障害 / AI機能解析
【研究成果の概要】
中枢神経系損傷に対する治療展開およびその基盤となる基礎研究を目指し、再生阻害因子CS(コンドロイチン硫酸)の除去による再生環境整備と人工シナプスコネクターを用いた積極的な神経の人為接続という2つの異なる新しい再生医療へのコンセプトを融合し、「超回復モデルの作成と検証」「超回復を活かしてのAIモーションキャプチャーによる機能改善過程の解析」「脊髄損傷時における痛覚感覚受容解析とその再生」の3点を推進する。再生阻害因子の制御ではCS発現抑制のための核酸医薬の導入(Nature Commun.)を、シナプスコネクターは我々の国際共同研究によって作成及び実証された新規人工合成キメラタンパク質CPTX(Science 2019)を応用するものである。本年度はおもに下記の2点を中心に推進した。
1)既存の脊髄損傷モデルの生理的回復と修復を遥かに凌駕する超回復モデルの作製
中枢神経系損傷に対して、阻害因子であるCSの発現を核酸医薬で抑制し「再生環境整備」とともにと人工的シナプスコネクターCPTXによる「シナプスの人為的積極的結合」を統合を進め、超回復モデルの作成を進めている。相加相乗的な効果を期待するものであるが、CPTXの機能が細胞外基質であるCSの発現量で制御されるという想定外の画期的な結果を得ることが出来た。2)超機能回復への“AIモーションキャプチャー(キネマトレース)解析”の導入と確立 統合による超回復モデルと、それぞれの回復性と特性の違いを活かしつつ、客観的かつ定量的な運動機能回復評価が可能な「AI機械学習を利用したモーションキャプチャー」システムを構築している。それぞれの機能回復マウスにおいて特徴的な運動機能改善の要素を抽出することに成功した。
【研究代表者】