タンパク質の超高感度定量法の開発とその定量から理解する動物行動の変容
【研究分野】動物生理・行動
【研究キーワード】
行動 / タンパク質 / ELISA / チオNADサイクリング法 / CREB / モノアラガイ / 行動学 / 神経化学 / 生物物理学 / 脳・神経 / 蛋白質
【研究成果の概要】
モノアラガイでの味覚嫌悪学習のキー・ニューロン内でのCREB1タンパク質の定量を試みるのが本研究の目的である。まずはその検出方法であるが、当該のタンパク質の抗体を用いたELISA法に、チオNAD酵素サイクリング法を組み合わせたものを適用し、極微量のタンパク質でも定量できるようにその測定方法の開発に努めた。サイクリング法での脱水素酵素として3α-hydroxysteroid dehydrogenaseを用い、かつ基質としては改変したandrosteroneを用いて、300回転/分以上のサイクリングを実現した。これは、androsteroneの17位を修飾することによって成功した。また酵素反応の至適条件も見直し、バッファー組成のリン酸基濃度を増やした。さらには、標識酵素としてアルカリホスファターゼまたはβガラクシダーゼのどちらを適用し、市販のプレートリーダーを用いた測定系で、10^<-20>moles/well以上の検出限界を達成できた。さて次に、CREB1タンパク質を、上述のアルカリホスファターゼを標識酵素として用いて定量してみた。しかしながら、現時点では高感度は得られておらず、行動変容に特に関与するニューロン1個内のCREB1タンパク質を定量できるまでには至っていない。問題点は、抗体の精度にあることは明らかとなったので、現在は、その抗体の精度を上げるように努めている。
【研究代表者】