パーソナリティと実行系注意機能の関係の解明:認知構成論的アプローチの試み
【研究キーワード】
実行機能 / パーソナリティ / 眼球運動 / 行動選択 / 実行計注意機能 / インタフェース / 実行系注意機能 / 前頭葉機能 / ロボット
【研究成果の概要】
本研究の目的は,パーソナリティの個人差の基盤となる実行系注意機能の働きを明らかにすることである。特に,本年度および次年度は,(1)実行系注意機能とパーソナリティとの関係を記述するための仮説モデルを立て,そのモデルの妥当性を調べるための実験パラダイムを確立すること,(2)その結果に基づき,行動生成モデルの構築を行い,ロボットインタフェースへの実装のための基盤整備を目的とした。
本年度は,以下のような調査ならびにデータ解析を実施した。
Web調査によって,実行系注意機能が関与すると考えられる行動(特にプランニングや衝動性の抑制)などの生起の傾向とパーソナリティの関係を明らかにした。特に,新型コロナ感染症の流行という未経験の事態に遭遇した際に,新しい行動様式を実行し,習慣化していくためにはプランニングや衝動的行動の抑制と言った実行系注意機能が重要な役割を果たすと考えられる。そこで,感染拡大防止に向けた新しい行動様式の獲得とパーソナリティの関係をWeb調査により調べた。その結果,勤勉性や開放性といったパーソナリティ特性と新しい行動様式の習慣化の間に相関が見られることが明らかとなった。未知な状況に対する探索的な傾向や,社会的な交流の自粛と言った衝動の抑制などが新しい行動様式の獲得に寄与していることが推察される。これらに基づいて,先行研究の結果も踏まえて仮説的な概念的モデルを構築した。また,仮説的なモデルに基づいて,実験課題のプロトタイプを作成した。
また,一昨年度,別の目的で収集した認知課題遂行時の眼球運動とパーソナリティに関するデータを再分析し,機械学習に基づくパーソナリティを潜在変数とした眼球運動の生成モデルを作成した。その結果,開放性と勤勉性に関連した眼球運動のパラメータが潜在変数として取得できた。その結果をもとに,それをアバターのアニメーションに実装した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
船越 孝太郎 | 東京工業大学 | 科学技術創成研究院 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2020-04-01 - 2024-03-31
【配分額】16,250千円 (直接経費: 12,500千円、間接経費: 3,750千円)