ピロリ菌病原因子CagAの宿主細胞内新規結合ホスファターゼの解析
【研究キーワード】
ヘリコバクター・ピロリ / CagA / 脂質ホスファターゼ / がん / 胃がん / へリコバクター・ピロリ / 細菌 / 感染がん
【研究成果の概要】
胃上皮細胞におけるチロシンリン酸化CagAの新規結合標的として、SH2ドメイン含有イノシトールホスファターゼSHIP2を同定した。CagAは宿主細胞の細胞膜近傍にSHIP2を集積させ、SHIP2のリン脂質ホスファターゼ活性を亢進することでピロリ菌が接着する細胞膜のホスファチジルイノシトール組成を変化させることを示した。さらに、SHIP2がピロリ菌から宿主細胞へのCagAの侵入を促進することを明らかにした。
【研究の社会的意義】
SHIP2はCagAと結合することで胃上皮細胞内へのCagAの取り込みを促進し、その働きによりCagAが示す発がん活性の亢進に寄与していることが強く示唆された。本研究から、SHIP2は特に欧米に広く分布するピロリ菌が持つCagAへの結合が強いことが示され、欧米型のcagA陽性ピロリ菌感染を起点とした胃発がんに関わることが推察された。SHIP2によるCagA取り込み促進のメカニズムをさらに詳細に明らかにすることで、胃がん発症予防に関わる重要な知見が得られる可能性がある。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2019-04-01 - 2022-03-31
【配分額】4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)