顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)による顔面神経再生促進効果の検討
【研究分野】耳鼻咽喉科学
【研究キーワード】
再生医療 / G-CSF / 顔面神経麻痺 / 神経再生促進 / 表情筋再生促進
【研究成果の概要】
本研究の目的は、G-CSFによる顔面神経再生促進効果の検証である。ラットを用いて顔面神経傷害モデルを作成後、顆粒球コロニー刺激因子(granulocytecolonystimulating factor、以下G-CSF)製剤を投与し、G-CSFによる神経再生促進効果を検証し、そのメカニズムを探究し、臨床応用に向けての最適な投与方法、投与量、投与期間を検討する。我々はラットの顔面神経部分切除または切断縫合後のG-CSFによる神経再生促進効果について検討してきた。そして神経傷害から3か月後において、顔面神経部分切除群より切断縫合群で回復が早いこと、G-CSF投与群では視診上および筋電図上でコントロール群に比較して回復が早いことを確認した。これに続き、機能学的に比較したグループ間で組織学的はどのような差異が生じているのかを検討している。まず表情筋の萎縮からの回復について観察、検討した。臨床の場では、神経傷害が重度であると支配筋の萎縮が想定され、実際に著明に萎縮する症例を認めるが、神経傷害が重度であっても、機能は別として筋の萎縮が著明でない症例もある。顔面神経が完全に断裂されるとどの程度筋が萎縮するのか、そして、顔面神経部分切除群、神経切断後縫合群、G-CSF投与群で、表情筋の萎縮からの回復に差があるのかを比較した。これにより、外傷や手術による神経断裂時に筋委縮に対して施行すべき処置を検討する一助になり得る。本研究では眼輪筋と口輪筋について神経傷害から12週後の筋萎縮からの回復の様子を観察した。結果、神経部分切除群では処置から
12週後も筋委縮は著明であり、切断後縫合群、G-CSF投与群では非断裂側と比較した筋萎縮は神経部分切除群ほど著明ではなかった。特にG-CSF投与群で筋委縮からの回復が神経再生のみによるのか、筋細胞自体に対するG-CSFの直接的再生促進効果もあるのか検証する。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
近藤 健二 | 東京大学 | 医学部附属病院 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2017-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)