擬似生体膜をテンプレートとした生体鉱物の人工合成
【研究分野】岩石・鉱物・鉱床学
【研究キーワード】
バイオミネラリゼーション / LB法 / 電子顕微鏡 / 理論 / 金属錯体 / EBSD / ココリス / キラル / 生体鉱物 / LB膜 / 原子力顕微鏡 / ブルーサイト / カオリナイト / 理論シミュレーション / ブルーサイト層 / 原子間力顕微鏡
【研究成果の概要】
本研究では、生体中の鉱物生成(バイオミネラリゼイション)の機構を原子レベルで解明することを目指して、以下の研究課題を取り上げて研究を行ってきた。
(1)精緻な構造を持つ生体鉱物においてその構造形成において有機分子などの鋳型分子がどのように働くか?
(2)生体鉱物の示す多様な形態はその機能とどのように関連しているか。
この問題を解決するためには、鉱物学的な手法にとどまらない生物,化学を通じた広い研究手法が必要と認識した。その上で、本研究では生体膜表面における生体鉱物の人工合成という観点から上記の問題に迫った。すなわち、生体鉱物の多くは、たんぱく質表面に配列した種々の官能基(-COOHや-OH)を鋳型(テンプレート)とした化学合成によって生成されると考えられている。このプロセスを擬似生体膜を用いて人工的に再現し、ミクロからマクロにわたる鉱物生成過程の各段階を最新の界面分光学によって明らかにしようとした。
特に本年度においては自然界における代表的な生体鉱物をとりあげ、その原子レベルでの構造と結晶方位等を明らかにし構造の成り立ちを推定した。とくに電子顕微鏡を用いたナノスケールでの表面構造の解析には、最近発達してきた電子後方散乱解析(EBSD)を備えた走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて追跡した。
上と平行して、特異な構造を持つ炭酸カルシウム鉱物としてことで知られている円石藻のcocolithをとりあげ、その結晶方位をEBSDで解析することに成功した。その結果、この生体鉱物が結晶構造的に明確な不斉構造を有することが確かめられた。この結果より、不斉構造が有機テンプレートとどのような相互作用によって実現されるかについての一歩が得られたと考える
【研究代表者】