紙の感性機能を生かした高齢化社会向け紙系福祉・介護用品の開発
【研究分野】広領域
【研究キーワード】
不織布 / マニラ麻 / レーヨン / 介護シーツ / 圧縮弾性率 / 摩擦係数 / 引張変形分布 / 吸水性 / ウォータージェット / 面内変位分布 / 介護 / 摩擦感 / 紙 / パルプ / ざらつき / 繊維配向 / 引張強度
【研究成果の概要】
本研究は、介護システムが社会の重要な一分野になっている今日、快適な肌触りを持ち、環境にもやさしい介護用品の開発を目的とした。ウォータージェット不織布の構造では、エックス線回折図から繊維はMD方向に配向することが分かった。WJ処理水圧の増加、ノズルプレート角度の減少に伴いMD方向への配向が大きくなった。マニラ麻パルプとレーヨンの混抄不織布にプラスチックフィルムをラミネートし、介護用シーツ試作品とした。不織布面は、レーヨンに対しマニラ麻の配合率を上げると滑りやすく、ざらついた面になった。フィルム面は、PUよりPEの方が滑りにくく、エンボス加工は効果がなかった。これらは、次の手触り感の官能検査結果と一致した。マニラ麻の多い介護シーツは表面が平滑であるにも関わらず、繊維間結合が強くて固いためにざらつき感が感じられる、との評価であり、曲げに強いためシワやヨレが起きにくくなると予測された。施設で試用してもらったところ、シワやヨレが起きやすく、滑りやすくて困るが、使用直後から感じる暖かさがあるなど肌触りはよかった、という評価であった。同混抄不織布の引張変形伸びの2次元分布と吸水速度測定を行った。MD方向に引っ張るとCD方向に座屈しながら収縮し、マニラ麻の比率が高いと、大きい周期で座屈した。CD方向に引っ張ると、引張方向にほぼ均等に伸びたが、マニラ麻の比率が高いと、ところどころ破壊が起きる部分だけがよく伸びた。マニラ麻100%試料よりもレーヨンを配合した不織布の方が速い吸水を示した。ラミネート加工により吸水速度が下がった。製造工程上の制約から、原料はマニラ麻及びレーヨンの繊維に限定されたが、これらを原料とする不織布介護シーツの試作品を得ることができた。今後、古紙パルプを利用した不織布製品の開発などが、本研究の発展段階として期待される。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
磯貝 明 | 東京大学 | 大学院・農学生命科学研究科 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
江前 敏晴 | 東京大学 | 大学院・農学生命科学研究科 | 助手 | (Kakenデータベース) |
倉田 俊彦 | 東京大学 | 静岡県・富士工業技術センター | 主任研究員 |
吉崎 学 | 東京大学 | 静岡県・富士工業技術センター | 技師(研究職/">(Kakenデータベース) |
日吉 公男 | 静岡県富士工業技術センター | 主任研究員 |
深沢 博之 | 静岡県環境衛生科学研究所 | 東部支所 | 副主任(研究職/">(Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2000 - 2002
【配分額】9,300千円 (直接経費: 9,300千円)