セルロースナノファイバーの精密構造解析
【研究キーワード】
セルロースナノファイバー / 結晶性 / 熱伝導率 / 構造解析 / 原子間力顕微鏡 / 固体核磁気共鳴
【研究成果の概要】
木材のパルプ繊維をミクロフィブリル単位または微細なミクロフィブリル束にまで解きほぐすとセルロースナノファイバー(CNF)となる。CNF特性はセルロースの結晶性と相関があり、高結晶性なほど優れた特性を示す。これまでに、CNFの結晶性は分散性が高まるほど低下してしまうことが明らかになっており、分散による結晶性の低下は、結束したミクロフィブリルの会合面が表出することが要因であることが示唆されている。CNF会合体を形成するとき、CNFは部分的に結束することになる。したがって、CNFの会合を操作することで、結晶性を制御できることが予想される。そこで本研究は、CNFの会合が結晶性に与える影響を精査し、セルロース結晶の特性を高度発現させる技術基盤を構築することを目的とした。
結束状態の異なるCNF会合体の結晶性を解析し、物性との相関を調べたところ、CNF間の相互作用が強まるほど、CNFの結晶サイズ及び結晶化度が高まることを確認した。すなわち、CNFの結晶性は可逆的であり、CNFに変換されたことで低下した結晶性が、会合により、回復することが判明した。なお、CNF間の相互作用は、CNF表面のカルボキシ基を酸型に変換した際に最も高くなることが示された。さらに、CNFの熱・機械特性と結晶性との関係を調べたところ、正の相関を示した。以上をまとめると、CNFの結晶性はミクロフィブリルの界面構造が支配しており、分散・会合により物性を制御できることが明らかになった。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
小林 加代子 | 京都大学 | 農学研究科 | 助教 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】2021-04-05 - 2025-03-31
【配分額】41,600千円 (直接経費: 32,000千円、間接経費: 9,600千円)