犬腫瘍トランスクリプトームの人工知能解析による病態関連因子の探索と臨床応用
【研究キーワード】
AI / 犬 / 腫瘍 / non-coding RNA / micro vesicles
【研究成果の概要】
本申請課題では,獣医療と人医療で問題である腫瘍病態に対して,新しい診断・治療ターゲットを選出し,病態への関与の解明と,実臨床応用を行うことを目的としている.具体的には,3年間で次のようなことを計画している.犬の腫瘍組織,樹立腫瘍細胞株,さらに腫瘍分泌エクソソームの網羅的遺伝子発現(トランスクリプトーム)データをmRNAとnon-coding small RNAに分けて,腫瘍の病態解明を行う.同時にターゲットの発見解析に人工知能(AI)手法を導入する.さらに,新規ターゲットの機能解析を細胞株で行い,同時に臨床マーカーとしての有用性を調査する.
初年度は,次世代シーケンス(NGS:RNA-Seq:トランスクリプトーム)データのin silico解析を行った.犬のメラノーマ,肝細胞癌,乳腺腫瘍などでデータを解析した.特にメラノーマでは特定のターゲットの選別に成功し,以下に示す生理活性も確認中である.また,犬の乳腺腫瘍ではマイクロRNAの網羅的発現変化とこれまでに報告のほとんどされていないnon-coding RNA分子種の変化も確認した.同時に,細胞外分泌小胞体であるエクソソームに含有されるnon-coding RNAの網羅的解析から,犬メラノーマに関連するマイクロRNAとその他のnon-coding RNAの発現変化を確認した.これらの結果は3報の国際誌と複数の国際学会で発表した。また、これらのデータは,人工知能(AI)解析によるターゲットの探索と選択へ利用できるフォーマットとして整えた.また,3つ目の目的である腫瘍細胞株へのターゲット分子導入と表現型変化の確認に関しても,犬のメラノーマで変化する新規のターゲットRNA分子を,培養細胞に遺伝子導入して,細胞の増殖,アポトーシス,浸潤性を確認できた.
【研究代表者】