東アジア諸国におけるコミュニティ計画論の比較研究
【研究分野】農業土木学・農村計画学
【研究キーワード】
コミュニティ計画 / 東アジア / 計画論 / 研究者ネットワーク / 比較研究 / 住民自治組織の再編 / 比較農村計画学 / 国際比較 / 台湾 / 中国 / 韓国 / 農村アメニティ / 条件不利地域
【研究成果の概要】
東アジア4ヶ国(日本、韓国、中国、台湾)からコミュニティ計画論の研究者を招き,2010年8月22日から26日にかけて京都大学で国際ワークショップ(WS)を開催し、各国のコミュニティ計画論について濃密な意見交換と比較考察を行った。日本からは「集落自治組織の再編」と「まちづくりにおける自治組織の機能」に関する報告があり、韓国からは「農村マウル総合開発事業」に関する報告(2事例)があった。また、中国からは「新農村建設事業」に関する設計事例の報告(2事例)が、台湾からは「2010年に制定された農村再生条例に基づくコミュニティ計画の取り組み」と「文化的資源による社区発展の比較分析」がそれぞれ報告された。各国の報告はコミュニティ計画と地域づくりにかかわる最新の事例を取り扱っているが、計画論を規定する各要素(計画の区域、事業主体、住民組織、参加のスタイル、専門家の関与、行政の関与、助成)に着目してこれらを整理したところ、それぞれの共通点と相違点が鮮明となり、東アジア各国のコミュニティ計画論を包括した枠組みの設定が可能であることがわかった。他方、報告内容から重点的な関心を読み取り、それを比較するならば、中国では計画策定の方法論(狭義の計画論)が、韓国では、地域づくりのマネジメント(広議の計画論)と関係主体の連携が、台湾と日本では住民主体の形成(キャパシティ・ビルディング)がそれぞれ中心的な課題として扱われていたが、これは、各国のコミュニティ計画論がおかれている環境条件に大きく左右されていることが推察された。これらの成果は、『比較農村計画論』の確立に貢献するものである。
【研究代表者】