脊椎動物由来味覚受容体の構造機能連関を基盤とした味物質受容機構の体系的解析
【研究分野】食品科学
【研究キーワード】
食品 / 遺伝子 / 生体分子 / 味覚 / 受容体
【研究成果の概要】
近年、甘味・旨味や苦味といった味物質を受容する味覚受容体分子の存在が明らかとなり、味覚組織に発現する多くのGタンパク質共役型受容体が同定されたものの、各受容体に対するリガンドの解明については依然多くについて残されている。本研究課題においては味覚受容体の味物質受容機構の更なる理解のため、受容体の構造機能連関解析を基盤としてその機構を明らかにしようという目的で実施するものである。
哺乳類以外の脊椎動物として魚類を選択し、データーべースより哺乳類由来味覚受容体(T1R・T2Rファミリー)と相同性を持っ配列の検索を行った。培養細胞発現系を用いて受容体候補分子を発現させ、呈味物質投与に対する応答を観察した。その結果、ゼブラフィッシュ・メダカに由来するT1Rを特定の組み合わせで共発現させることにより、L-アミノ酸を受容する受容体として機能することが判明した。受容するL-アミノ酸の種類は発現させる受容体の組み合わせによって異なっており、魚類においてはT1RによりL-アミノ酸を幅広く受容しうることが判明した。
またゼブラフィッシュ由来のT2Rのうち、苦味物質であるデナトニウムを受容するものにっいて、細胞外ループ領域の点変異体を作製してデナトニウム受容能との相関を解析したところ、270番目に位置する残基が酸性アミノ酸である場合にはリガンドを受容するが、負電荷をなくすような変異を導入することによりリガンドに対する応答性が顕著に低下した。この部分はリガンド認識部位と比較的離れていることが想定され、細胞外ループ領域のリガンド受容に関わる新たな機能が推察された。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究(A)
【研究期間】2006 - 2007
【配分額】26,780千円 (直接経費: 20,600千円、間接経費: 6,180千円)