根圏マイクロバイオームを活用した持続型農業を実現するイネ遺伝子の探索と育種利用
【研究キーワード】
イネ / 根圏マイクロバイオーム / イオノーム / ゲノムワイド関連解析
【研究成果の概要】
低投入持続型農業を実現するには、少ない施肥でも収量を維持し安定した作物生産が可能となる品種の開発が有望視されており、そのためには少肥栽培時の作物の成長と収量の維持に寄与する遺伝子の単離とその育種利用が重要である。本研究では、イネを材料に用いて、無施肥条件下での成長・収量関連形質と根圏微生物との関係性を解明し、少肥栽培時の成長を支える根圏微生物との共生に関わるイネ遺伝子を同定することで、これらを遺伝子資源として育種利用することを目指す。
令和3年度は、日本の栽培イネ120品種を施肥圃場と無施肥圃場で栽培し、草丈、分げつ数、SPAD値、乾物重、穂数、穂重、分げつ数、穂型の計測を行った。地上部形質のゲノムワイド関連解析(GWAS)により検出されたピークの中から、施肥区で2番染色体に、無施肥区で4番染色体に、施肥区及び無施肥区特異的にピークが検出された退化頴花率に着目した。GWASにより、この退化穎花率と有意に関連があるとされる複数の多型が検出され、これらの多型は穂型形成に関わる遺伝子近傍に存在していた。また、イネ120品種の根圏微生物叢データを用いて、主座標分析を行いイネ120品種の根圏微生物の群構造を示す主座標得点を用い、GWASを行った。その結果、1番染色体に無施肥区特異的なピークが検出され、候補責任遺伝子を絞り込んだ。この候補責任遺伝子の多型は、無施肥区の到穂日数、分げつ数においても影響を及ぼしていた。つまりこの候補責任遺伝子における多型が栄養条件に応答したイネの根系形成に関与し、その結果根圏微生物叢や地上部形質にも影響を及ぼしている可能性が考えられた。さらに、葉におけるイオノーム解析を進め、順調にデータが蓄積しており、令和4年度にGWASを実施予定である。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
村瀬 潤 | 名古屋大学 | 生命農学研究科 | 教授 | (Kakenデータベース) |
藤原 徹 | 東京大学 | 大学院農学生命科学研究科(農学部) | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】挑戦的研究(開拓)
【研究期間】2021-07-09 - 2024-03-31
【配分額】26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)