栽培イネの登熟特性・穀粒品質の遺伝的制御
【研究分野】育種学
【研究キーワード】
イネ / 品質育種 / 突然変異誘発法 / 登熟特性 / 粒内成分 / 品種間差異 / 貯蔵タンパク質 / 良食味性
【研究成果の概要】
各自,研究を進展させ,さらに全員でとりまとめを行った。成績書は現在作成中である。
1.穀粒成分の遺伝変異
国内外の品種について検討した。(1)穀粒成分からみた良食味品種の特性,(2)タンパク質(穀粒)の品種間差異,(3)胚乳タンパク質の層別変動に関する品種間差異,(4)胚乳アミロ-ス含量の層別分布に関する品種間差異,などについて成果が得られた。とくに国内外の品種から特徴的なパタ-ンを示す品種を例示するとともに,栽培環境の変化に対する品種反応をいくつか明らかにした。
2.登熟要因と品質
施肥,環境温度,栽培地(土地条件を含む)の変動が品質に与える影響を解析した。(1)年次・栽培条件による穀粒成分の品種間差,(2)栽培条件によるイネ種子中の遊離アミノ酸の変異,(3)登熟中の温度が穀粒成分に与える影響,(4)粒長・粒巾に関する生長解析,(5)穂構成器官,節間および止葉の老化速度の品種間差異などを明らかにした。
3.遺伝変異の作出に関する1考察
イネの人為4倍体を異代照射することにより得られた2倍体復帰固体からの変異系統を用い,穀粒形質の突然変異の出現過程の解析を試みた。
形態的変異については固定系統が多く得られたが,成分などの品質では安定しにくいことが判明した。
4.育種における選抜・検定法に関する1考察
育種の現場における食味の簡易評価法として,統計的方法によらない簡易評価法を考案し,その効果について検討した。
以上のことから,さらに全員で今後に向けての研究方向について総合討論を行った。
【研究代表者】