マウス・マーモセット視覚野での動きの視覚情報が統合される情報処理メカニズム解明
【研究キーワード】
マウス / マーモセット / 背側視覚野 / 運動パターン情報処理 / シナプス入力イメージング
【研究成果の概要】
物体の“動き”に関する視覚情報は大脳皮質の背側に位置する多数の視覚領野からなる階層的な神経経路によって処理される。低次視覚野の細胞は単純な動きの情報(線分の動く方向)を処理し、背側経路に属する高次領野の細胞は複数の線分の動きを統合し、大局的な運動パターンを処理する。しかし、複数の高次領野の細胞がそれぞれどのような情報を処理しているかいまだ分かっていない。本研究ではマウス・マーモセット視覚野と広域・二光子Ca2+イメージングを組み合わせ、異なる2つの背側視覚野の細胞が物体の動き情報に対して異なる反応性を示すことを解明した。
【研究の社会的意義】
視覚情報は霊長類において外界を認識するための感覚入力の大部分を占める。視覚情報に含まれる運動情報がどう処理されるかいまだ詳細は分かっていない。特に視覚野は脳の感覚領野の中で最も領野数が多く、その領野間で形成される階層的なネットワークによって視覚情報は処理されるため、いまだ各領野でどのような情報を処理し、次の領野に送っているか十分に調べられていない。本研究では視覚の運動情報を処理する背側経路に位置する領野において動き情報が蓄積され、その蓄積度合によって刺激終了後に逆向きの動きを検知する神経活動が見られた。これは我々が見ている物体の次の動きを予測する機能の神経メカニズムを示していると考えられる。
【研究代表者】
【研究種目】研究活動スタート支援
【研究期間】2019-04-01 - 2020-03-31
【配分額】2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)