静脈弁形成を制御する力学要因の抽出と再構成アプローチによる静脈弁誘導の試み
【研究キーワード】
静脈弁 / 下肢静脈瘤 / メカニカルストレス / BioMEMS / マイクロ流体デバイス / 血管網 / 再生医療 / 創薬 / 3次元血管網 / 流体シェアストレス / 伸展刺激 / 力学刺激 / Prox1 / MEMS / 血管ネットワーク / 3次元血管モデル / 力学場再構成 / 管腔構造 / 脈動流 / 流体せん断力
【研究成果の概要】
発達した弁組織を有することで知られる伏在静脈の血管内皮細胞(HSaVECs)を用いて、灌流および伸展刺激を負荷可能な(i)3次元血管網モデルおよび(ii)血管流路モデルをそれぞれ構築した。モデル(i)では、ミリメートルサイズの自発的に形成された血管網の構築を達成し、モデル(ii)では、灌流および伸展刺激を組み合わせることで脈動流を形成し、流路分岐部において不均一な遺伝子発現の分布を再現することに成功した。このように、血管モデルにおける力学刺激と静脈弁関連遺伝子との関わりを評価可能な研究基盤を構築し、HSaVECの力学刺激応答に関する知見を得た。
【研究の社会的意義】
「下肢静脈瘤」は、静脈弁が破壊されたことにより発症する典型的な静脈疾患で、国内だけでも女性を中心に1000万人を越える患者がいると言われている。現在、ヒトの生体外静脈弁モデルは知られておらず、マウスなどの四足動物では下肢静脈瘤モデルの作製は困難であると考えられる。本研究により得られた知見とヒト血管モデルに対する力学刺激負荷システムは、生体外で弁組織を誘導するための新たな研究基盤として有用であるとともに、創薬研究の進展に貢献するものと期待される。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
尾上 弘晃 | 慶應義塾大学 | 理工学部(矢上) | 教授 | (Kakenデータベース) |
|
【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2019-04-01 - 2022-03-31
【配分額】17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)