中枢神経を持たないクラゲの睡眠:「末梢睡眠」についての研究
【研究キーワード】
末梢睡眠 / クラゲ / 散在神経系 / 行動解析 / ゲノム / 抹消睡眠 / SIK3 / エダアシクラゲ / 刺胞動物 / 睡眠 / 行動
【研究成果の概要】
睡眠は健康な生活に必須である。睡眠が不足すると、意識がもうろうとすることなどから、脳の休息に重要であると考えられるが、睡眠がどのように脳の機能回復に働くのかということの分子的実体は不明の点が多い。脳(中枢神経)の無いクラゲにも睡眠が存在することは、睡眠は、脳のみでなく、末梢においても何らかの役割を果たしていることを示している。私たちはクラゲの睡眠を「末梢睡眠」と名付け、本研究はこの末梢睡眠を明らかにすることを目的とする。クラゲの末梢睡眠は哺乳類などの睡眠とどう関係しているのだろうか?表面的な類似した現象にすぎないのか、それとも多くの動物の睡眠に共通の分子基盤が存在するのか?最近、エダアシクラゲのゲノム解析により、クラゲのゲノム中に、マウスで「眠気」を制御する鍵となる重要な遺伝子SIK3のオーソログが見つかった。このことはクラゲの末梢睡眠は哺乳類の睡眠に共通の分子基盤が存在することを示唆している。そこで、(1)クラゲの末梢睡眠は行動的にどれほど哺乳類の睡眠に共通しているかを調べる。次に(2)クラゲの末梢睡眠において、マウスで睡眠と覚醒の制御に重要なタンパク質であるSIK3分子の動態を解明する。今年度は、(1)の行動学的な解析のための実験系の整備、睡眠を阻害する刺激の条件の検討やクラゲの行動を記録する画像取得とその解析のソフトウエアの開発など進めた。(2)については、睡眠と覚醒の制御のカギとなる重要な分子であるSIK3タンパク質に対する抗体を作成しこれを用いた実験を行った。
【研究代表者】
【研究種目】挑戦的研究(萌芽)
【研究期間】2020-07-30 - 2023-03-31
【配分額】6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)