電解質プラズマによる革新的部分酸化法の開発
【研究分野】熱工学
【研究キーワード】
大気圧非平衡プラズマ / メタン / メタノール / 水素 / 気液界面 / GTL / アレニウスプロット / 水蒸気改質
【研究成果の概要】
内径1.5mm,外径2.7mm,長さ50mmの石英ガラス管を反応器して用いる。内部に設けた直径0.5mmのステンレス製ワイヤにパルス高電圧を印加し(10kV,10kHz),反応器の中で誘電体バリア放電を形成した。反応器にはCH_4とO_2の混合ガスを供給し,反応時間が100ms~500msになるように流量を調整した。反応器は水槽に浸漬しており,メタンの酸化反応によって生じる反応熱を除熱して反応温度を低く保つ工夫をしている。液体成分はコールドトラップを経て捕集し,ガスクロマトグラフ質量分析計で定量分析した。気体成分はガスバックに捕集した後,ガスクロマトグラフで分析した。酸素がなければ(CH_4=100%),メタン転換率はほぼゼロである。これは,メタン分解反応の閾値エネルギーが非常に大きいこと,さらに電子エネルギーが広い分布を持っていることに起因しており,プラズマだけで効率よくメタンを分解することは難しいことを示唆している。ところが,わずかに酸素を添加することでメタン転換率は増大し,O_2/CH_4=0.5の時10%-15%に達する(反応時間=130ms)。これは,プラズマで生成された活性酸素種がメタンの分解反応(脱水素反応)を効果的に促進しているためである。常温以下の低い温度では,主な液体成分であるメタノール,ホルムアルデヒド,ギ酸が反応器の壁に凝縮し,酸素リッチで反応活性の高いプラズマ反応場から効果的に分離される。その結果,液体成分の選択率として約50%が得られた。プラズマと液体の異相界面を積極的に利用するため,原料ガスとは別に液体水を供給するシステムを開発した。その結果,メタノール等液体成分内再分解を効果的に抑制することが可能となりさらなる収率向上の指針が得られた。
【研究代表者】
【研究種目】挑戦的萌芽研究
【研究期間】2008 - 2009
【配分額】3,400千円 (直接経費: 3,400千円)