農村地域におけるランドスケープのパターン変化が生物多様性に及ぼす影響に関する研究
【研究分野】園芸学・造園学
【研究キーワード】
農村地域 / ランドスケープ / パターン変化 / 生物多様性 / 淡路島 / インドネシア / ため池 / トンボ類 / イギリス / バリ島 / 標識調査
【研究成果の概要】
平成17年度は、本研究課題の最終年度にあたるため、これまでの研究成果をまとめ、発表することを特に重視した。下に挙げた論文や図書以外には、6月にイギリスのエディンバラの国際シンポジウムでの研究発表、8月の神戸市の流通科学大学における国際学会での研究発表、11月のネパールで行われた国際保全生物学会アジア地区大会での研究発表、平成18年1月の農村計画学会セミナーでの研究発表、3月の日本生態学会全国大会での研究発表、4月はじめの農村計画学会春期大会での研究発表などがある。これらの中には、既に論文化した投稿しているもの、図書として出版予定のものもあり、他についても今後論文化していく予定である。
現地調査としては、9月にインドネシアのバリ島において鳥類調査を実施した。平成15年に実施した調査結果を合わせて分析することによって、稲作の作付けと鳥類の分布に強い関係があることが明らかになった。我が国においては、これまで農村地域の土地利用との関係は知られていたが、熱帯地域では1年中稲作ができるために、鳥類はそれぞれが選好する稲の生育ステージの水田を利用していることが明らかになった。
これまでの数多くの調査結果を分析することによって、農村地域の長期的な土地利用の変遷によるランドスケープの変化と農作業などによる短期間の環境の変化が、それぞれ生物相の分布に影響を及ぼしていることがわかり、そのメカニズムの一部を明らかにすることができた。この変化と生物の分布の関係性を突き詰めていくことにより、社会・経済的な要因よりランドスケープが変化して行かざる得ない農村地域において、生物多様性保全を具体的に行う方法を明らかにできるであろう。本研究によって、いくつかの分類群について調査方法を確立し、基礎的な知見を得ることができたと考えている。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究(B)
【研究期間】2003 - 2005
【配分額】3,700千円 (直接経費: 3,700千円)