中世フランスの住空間の構造と機能に関する歴史考古学的研究
【研究分野】西洋史
【研究キーワード】
ヨーロッパ中世史 / 中世ヨーロッパ考古学 / 住居史 / 生活史 / 城砦 / 農家 / 町家 / 西洋中世史 / 中世城砦
【研究成果の概要】
この研究の課題は、今もなお現存する中世建物と発掘された中世建物遺跡に関する考古学的研究の総括と同時に古文書史料調査に基づいて、6〜15世紀のフランスにおける、世俗の住空間の構造と機能の実態とその歴史的変遷を解明することにある。具体的な研究対象としては、貴族の住居である城、都市民の住居である町家、農民の住居である農家という3つを中心としている。
平成17年度では、ルージエを中心とする中世後期から近世にかけての時期の南仏農村遺跡を調査したほか、城に関して、ノルマンディー地方のカーンとジゾールの現地調査を通じて、これらの城砦が11〜12世紀の城砦建築の先端例であることを理解できた。平成18年度には、ロワール地方に残るカロリング期国王館(ドゥエ・ラ・フォンテーヌ)と中世城砦遺跡(ロッシュ城、シノン城、ランジェ城など)の現地調査によって、中世フランスの城砦建築の発達の過程で、その中心的起源がロワール地方の9世紀以降の王館にあること、1200年前後のフィリップ2世の一連の国王築城政策によって、中世フランスの城の典型的スタイルが確立したことを確認した。平成19年度には、引き続き、ロワール地方に加えて、ブルターニュ地方東部に残る11〜12世紀の城砦建築を調査すると同時に、ブルターニュ地方東部とパリに残る中世都市家屋の調査を行い、中世都市家屋の構造については、入口と店舗の店台の構造を実例に即して調査し、認識することができた。
城、農家、町家のそれぞれが、職業的機能と同時に、身分的経済的差異に応じた住居を営んでいたと同時に、建築技術と設計の点で、これらの建物の間に多くの共通性があることを確認した。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2005 - 2007
【配分額】3,680千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 180千円)