ダンゴイカ類の高次認知能にみる頭足類の知性進化に関する行動・ゲノム科学的研究
【研究キーワード】
高次認知能 / コミュニケーション / 空間認知 / ダンゴイカ / 頭足類 / 知性 / 進化 / 認知能
【研究成果の概要】
本年度は、昨年度に引き続きダンゴイカ類の高次認知能について、コミュニケーション能と空間認知能に着目した評価のための行動観察を進めた。実験装置も昨年と同様、LED光源を収容した黒色筐体の一部に、複数の小さな穴を開けた黒色プレートを設置し、穴のみから光が出る装置を使用した。複数の小さな穴は、昨年と同様マル型もしくはバツ型に並べ、図形パターンの違いおよび点滅パターンの違いを実験個体に提示できるようにした。実験区は複数用意したため、実験個体の行動観察を効率的に遂行することができた。
昨年度まで、気候条件等の理由により計画段階で想定していた種の準備が困難であったことなどから、代替種でも実験を行なってきた経緯がある。予定種と代替種の間での行動傾向の違いが見受けられるとともに、種間比較を行うことで考察を深化できる可能性が認められたため、本年度も予定種と代替種の両方で行動観察を実施した。図形パターン(マル・バツ型)、点滅パターン(点滅あり・なし)およびコントロール(マル型・信号なし)のLED光信号について、潜砂行動(砂に潜る行動)との連合学習を調べた。
昨年までと同様に、予定種および代替種のダンゴイカ類は、両者共に全ての信号の組合せについて連合学習の成立の可能性を示した。一方、予定種に比べ、代替種の方が高い学習成立傾向を示した。代替種の体サイズは、光信号の直径よりひと回り小さく、予定種はひと回り大きかったことから、提示刺激サイズの検討も新たな課題として浮上した。また、代替種について、本試験の1ヶ月前に予備試験を経験した個体は、初見の個体に比べ学習成立傾向が高かったことから、学習経験の長期記憶に関わる新たな知見も得られた。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究
【研究期間】2019-04-01 - 2023-03-31
【配分額】3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)