ナノ地球微生物学:酸化鉄ナノ鉱物の生成・溶解を駆動する微生物から紐解く元素循環
【研究キーワード】
鉄酸化微生物 / 鉄還元微生物 / ナノ鉱物 / バイオミネラリゼーション / 微生物ダークマター / 鉄酸化菌 / 鉄還元菌 / バイオミネラル / メタゲノム / 分離培養 / 微生物
【研究成果の概要】
本研究では、「多種多様な未培養微生物が酸化鉄ナノ鉱物の生成・溶解を駆動し、地球表層環境における様々な元素の挙動・循環を支配している」という作業仮説の検証を通じて、それらの未培養微生物を分離培養により同定し、地球表層環境における「酸化鉄ナノ鉱物の生成・溶解プロセスの実態」と「微生物-酸化鉄ナノ鉱物-多元素の相互作用」を解明することを目的とした。本研究によって得られる成果は、自然界の元素循環に対する新たな視点を提示するものであり、さらには資源枯渇や環境汚染問題解決へ向けた応用バイオ技術の飛躍的な発展に貢献する可能性を秘めている。
2021年度は、本計画で得た中性pH付近で単独で鉄酸化および鉄還元によって増殖できるMIZ03株について追加の性状実験を行い、これをまとめた論文がMicrobiology Spectrum誌に受理された。MIZ03株には暫定的にRhodoferax lithotrophicusと名付けた。本成果については、学会やシンポジウムでの発表、プレスリリース、さらには解説文をウェブにて公開した。また、本計画で分離培養した、中性pH付近で鉄酸化によりエネルギーを獲得する微好気性バクテリアの分離株MIZ01株について、全ゲノム決定および系統解析、さらには形態・性状解析を実施した。得られた結果に基づいて、MIZ01株にSideroxyarcus emersoniiと名付け、新属新種としてIJSEM誌にて誌上発表した。新たなモデル地として、国内温泉地の堆積物試料を対象として、PacBioロングリードメタゲノム解析を実施し、鉄還元をすると推定される新規バクテリアの存在を示唆した。本成果は国内学会にて発表した。以上、上記の仮説検証に必要な知見を着実に積み重ねている。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
鈴木 庸平 | 東京大学 | 大学院理学系研究科(理学部) | 准教授 | (Kakenデータベース) |
伊藤 隆 | 国立研究開発法人理化学研究所 | バイオリソース研究センター | 特別嘱託研究員 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2019-04-01 - 2024-03-31
【配分額】17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)