アジア・アフリカの開発学ー日本の開発協力経験に基づくフィールドからの体系化
【研究キーワード】
アジアの開発学 / 政府開発援助 / アジア / アフリカ / 開発学 / アジア・アフリカ / ODA / 開発概念 / 翻訳
【研究成果の概要】
コロナの影響で当初予定していた現地調査に基づく研究が全く実施できなかったが、それでも文献調査に基づく研究と、隔月で定期的に実施してきた研究会(ODAの歴史と未来)の開催、研究会の内容のHPでの公開を実施した。また最終年度の成果発表に向けて、英文刊行の企画書を完成させ、現在、出版社と出版交渉を行っている。具体的には、「アジア・アフリカの開発学」を構想するにあたり、まずは日本の開発業界で広く用いられてきた実践にかかわる概念(e.g., 人づくり、現場主義、内発的発展、土木、国際貢献、人間の安全保障など)が英語に翻訳しにくい理由を考察しつつ、英語圏の人々に説明する書籍を企画した。日本の開発学では、アドボカシー、コミュニティー、エンパワーメントなど、外来語の氾濫が見られるものの、日本語として流通してきた上記の開発概念の批判的検討はなされてこなかった。これらの日本的概念の批判的研究は英語でとりまとめるだけでなく、2023年度の『東洋文化』に特集枠を確保し、日本語のオーディエンスに向けても成果を発信していく予定である。
なお、分担者の個別研究については、代表者の佐藤仁が2021年7月に単著『開発協力のつくられ方』(東京大学出版会)を上梓した。この書籍は東南アジアにおける日本の援助実践を歴史的に振り返りながら、日本の集団主義に基づく援助が欧米のそれとどのように異なる特徴をもつのかを解明し、「アジアの開発学」の土台となる基礎研究としてとりまとめたものである。分担者らによる単著・単独論文は、2022年度から続々と出版されていく予定である。
【研究代表者】