哺乳類の生殖腺の性的2型の維持と破綻の分子基盤の解明
【研究分野】動物生産科学
【研究キーワード】
支持細胞 / 性的2型 / heterogeneity / 性転換 / 卵精巣 / 性決定 / 哺乳動物 / heterogenity / 性分化 / セルトリ細胞 / 顆粒膜細胞 / テストステロン / AMH / マウス
【研究成果の概要】
哺乳類の生殖腺の支持細胞は、睾丸、卵巣への性的2型を作り出し個体の性を決定する。この支持細胞は、皮質-髄質側に沿って性的2型の偏った多様性が存在する。髄質側にはオスに偏った支持細胞(オスのセルトリ細胞になりやすい卵胞の顆粒膜細胞)が存在し、皮質側にはメス型の支持細胞(性周期卵胞の顆粒膜細胞)が存在している。本研究は、この性的2型に偏った支持細胞の分子基盤とその性転換を誘導できる外因性のパラクライン因子を同定した。この性転換に共通して、オス型の誘導・維持、メス型への抑制に、FGFとテストステロンが機能していることを証明した。この特殊な性的未分化性を維持する分子基盤をscRNA解析により解明した。
【研究の社会的意義】
哺乳動物の睾丸、卵巣の組織中に、性的に未分化性を維持した特殊な支持細胞が存在し、 外からのFGF シグナルとテストステロンの作用によりこの細胞の性が逆転することと、この特殊な支持細胞の分子基盤の特徴の一端を解明したことに学術的な意義がある。ごく一部の特殊な支持細胞の性の揺らぎが、ヒト早期卵巣不全、牛フリーマーチン症などの不妊症の引き金となり得ることから、この細胞を標的とした新たな不妊症の治療、予防法の開発につなげられるものと考えられる。
【研究代表者】