情動を制御する嗅覚コミュニケーションの全容解明
【研究分野】統合動物科学
【研究キーワード】
警報フェロモン / 安寧フェロモン / 社会的緩衝 / 揮発性分子 / 鋤鼻系 / 主嗅覚系 / 分界条床核 / 扁桃体 / フェロモン / 情動 / 行動学 / 神経科学 / 獣医学 / 応用動物 / 神経学 / 社会的緩衝作用 / 不安 / 安寧
【研究成果の概要】
本研究助成により、ストレスを受けていないラットから放出され、受容個体のストレスを緩和する安寧フェロモンの放出部位を特定し、その候補分子を4つにまで絞り込むことができた。
またこの安寧フェロモンと、これとは逆の作用を持つ警報フェロモンの脳内作用メカニズムに関しても検討した。その結果、安寧フェロモンは前嗅核後部を活性化し、その活性化が外側扁桃体核間細胞塊を介して扁桃体外側核を抑制することで、受容個体のストレスを緩和することが示唆された。一方で警報フェロモンは受容個体の分界条床核を活性化することで、不安行動を引き起こすことが示唆された。
【研究の社会的意義】
本研究の成果は、害獣制御方法としてフェロモン関連物質を利用する新たな方法の提起にもつながると期待される。現代においても飲食店や食料品販売店はほぼ例外なくネズミの被害に遭い続けているが、これらは野生ドブネズミによるものである。野生ドブネズミとラットは同種であることを考えると、ラットの不安を抑制する安寧フェロモン分子を同定することができれば、それを塗布することで野生ドブネズミを捕らえる罠の捕獲効率を高めるような応用的展開の可能性も拓けると考えられる。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究(A)
【研究期間】2015-04-01 - 2019-03-31
【配分額】24,050千円 (直接経費: 18,500千円、間接経費: 5,550千円)