卵成熟誘起ホルモン受容体の同定
【研究キーワード】
卵成熟誘起ホルモン / 1-methyladenine / 1-メチルアデニン / 受容体 / GPCR / ケミカルジェネティクス / シグナル伝達 / イトマキヒトデ / 卵成熟
【研究成果の概要】
ヒトデ卵成熟誘起ホルモンの受容体の同定が本研究の目的であり、昨年に引き続き、申請者がこれまでに見いだした有力候補であるGタンパク質共役型受容体(GPCR)が真の受容体であるかどうかを確かめるための解析を行った。細胞内の候補GPCRの機能阻害を期待して、昨年度に引き続き抗体による阻害を試すとともに、新たに機能不全型GPCR変異体を作成して競合的阻害実験を試した。
抗体による阻害については、細胞内突出部分を抗原とした抗体を細胞内に直接注射しただけでは阻害効果を得られなかったため、本年度は、抗体をGPCRが局在する細胞膜部分へ運搬・濃縮するための機能タンパク質のmRNAをあらかじめ細胞に注射することで、わずかであるがコントロール抗体に比べて卵成熟を阻害する結果が得られた。明確な差が出なかったため、膜へ運搬・濃縮する作用を蛍光標識抗体と混合して検証したところ膜への集積は見られたものの多くは細胞質にとどまっていた。引き続き他の膜局在化シグナルも試している。阻害用の抗体については、他に4種類のペプチド抗体を作成しており、そのうち1種類は全く効果がなかったが、他の3種類については、細胞膜の外側の領域を抗原としているため、培養液に添加して阻害実験を実施するために必要な精製濃縮抗体の準備を進めた。予備実験では効果が見られなかったため、より抗体が反応しやすくなるようにFab断片化抗体の調製を進めている。
抗体以外の阻害実験として、GPCRの機能に重要な働きを担うC末テール部分の一部を欠損させた変異体をいくつか作成した。そのうちのひとつは、変異を入れていないGPCRを発現させた時と比べて、卵成熟誘起ホルモンへの応答性にわずかではあるが差が見られた。発現させたGPCRが正しく膜に局在化したかを確認するため、N末細胞外領域に挿入したTag抗体を用いて関節免疫蛍光染色を行い膜局在化を確認した。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)