細胞内1分子イメージングによる複数種分子の動態・分子数・相互作用に関する同時定量
【研究分野】生物物理学
【研究キーワード】
1分子イメージング / 分子システム / シグナル伝達 / 3次元イメージング / マルチカラーイメージング / 薄層斜光照明法 / 分子定量 / 免疫細胞 / 免疫細胞活性化 / 転写因子 / 薄層斜光証明法 / 蛍光顕微鏡
【研究成果の概要】
生きた細胞で生体分子1個を観る新しい顕微鏡法を開発した。細胞の厚みより薄い局所的照明を用い、従来の楽射照明法よりも最高で8倍のシグナルノイズ比の高画質を得た。生体分子の細胞内における3次元観察とともに、時間と他の分子との相互作用を加えた5次元情報を取得することを可能にした。当方法は、生体分子の動きを、システムとして明らかにする新しい分野を切り拓くツールになる。薄層斜光照明法は、細胞内部だけを薄層状に照明することで背景光を抑えると共に、照明光強度を強めシグナルを強めるという特徴がある。全反射照明法(TIR)・薄層斜光照明法(HILO)・落射照明法(Epi)を自在に変化させることができ、細胞表面と細胞内部の任意の深さを瞬時に切り換えることができ、それぞれの場所での最適な観察と同時に、3次元イメージングが可能になる。複数種の蛍光ラベルタンパク質を用いることにより、マルチカラー3次元イメージングを行うことで、各タンパク質の刺激前後での分布変化、共局在変化を定量することができる。このシステムを用いて以下の研究を行った。
細胞質-核間輸送の1分子イメージングを定量し、相互作用する分子数・結合時間・解離定数・1分子あたりの輸送速度・核あたりの輸送速度を求めた。シミュレーションにより、実験値と数値モデルがよく一致するとの結果を得た。免疫T細胞の活性化における、Vav1分子のmicrocluster形成とシグナル伝達との関係を分子イメージングにより明らかにした。免疫細胞である肥満細胞を刺激した際の、細胞内の亜鉛濃度が数分の間に小胞体付近の細胞質で上昇し、シグナル伝達のセカンドメッセンジャーとして働く。亜鉛放出部位を特定するために、亜鉛インジケータと小胞体マーカーの2色3次元イメージングを行い、刺激による亜鉛ウェーブの様子を可視化した。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2006 - 2007
【配分額】18,080千円 (直接経費: 15,200千円、間接経費: 2,880千円)