高耐熱・高強度スーパーエンプラナノファイバーを作る
【研究キーワード】
スーパーエンジニアリングプラスチック / ナノファイバー / 複合材料 / 耐熱性 / 表面改質
【研究成果の概要】
本研究では、ポリマー材料の中でも高耐熱性かつ高強度であるスーパーエンジニアリングプラスチック(スーパーエンプラ)に着目し、そのナノファイバー化に向けた基盤研究を実施している。具体的な研究内容は、耐熱温度が高く、ナノファイバー直径が小さく、弾性率が高いスーパーエンプラナノファイバー(SEnF)を作製することである。
当該年度では、昨年度に引き続き、スーパーエンプラの1つであるポリエーテルエーテルケトン(PEEK)に着目し、PEEKからスルホン化PEEK(SPEEK)への化学改質、エレクトロスピニング(ES)法によるSPEEKのナノファイバー化、SPEEKからPEEKナノファイバーへの脱スルホン化、の3つのステップで、PEEKもしくはその誘導体のナノファイバー化を試みた。
はじめに、PEEKを濃硫酸中で加熱撹拌することで、PEEKからSPEEKへの化学改質を施した。加熱攪拌において、温度、時間を適切に制御することで、スルホン化度を制御できた。その結果として、スルホン化度を制御したSPEEKは、汎用性溶媒に溶解することがわかった。
つづいて、汎用性溶媒を用いてSPEEKのナノファイバー化を実施した。ジメチルホルムアミド(DMF)にSPEEKを溶解したSPEEK/DMF溶液を用いて、ES法によるナノファイバー化に取り組んだ結果、平均直径で約30 nmのSPEEKナノファイバーが得られた。
最後に、リン酸中で加熱処理することで、SPEEKからPEEKナノファイバーを再生(脱スルホン化)した。脱スルホン化により、スルホン化度が約20%減少し、熱重量減少温度が約80℃向上したことから、部分的にではあるがPEEKナノファイバーが出来ていることがわかった。
以上より、スーパーエンプラの1つであるPEEKおよびその誘導体のSPEEKにおいて、平均直径400 nm以下のナノファイバーを作製できた。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
前田 知貴 | 茨城大学 | フロンティア応用原子科学研究センター | 助教 | (Kakenデータベース) |
黒川 成貴 | 慶應義塾大学 | 理工学部(矢上) | 助教 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】2019-04-01 - 2024-03-31
【配分額】45,630千円 (直接経費: 35,100千円、間接経費: 10,530千円)