低コストナビゲーションのための拡散変調光によるトランスポンダシステム
【研究分野】農業機械学
【研究キーワード】
トラクタ / 位置測定 / ナビゲーション / 赤外線 / 変調光 / 画像処理 / 速度計 / 超音波 / ナビーション / 拡散光
【研究成果の概要】
自律走行や,精密農法で必要となるナビゲーションシステムを低コストで実現するために,高精度の超音波速度計,光トランスポンダ方式による測距装置,およびオプティカルフローによる移動ベクトル検出の開発研究を行った。主な研究成果は以下の通りである。
超音波速度計については、著者らが以前に開発した超音波ドップラー速度計を改良し,精度を向上させた。これによりコンクリート面のような滑らかな路面でも安定した測定が可能になった。屋外での車載試験でも良好な結果が得られた。また擬似植物を音波の反射対象とした実験を行い,測定が可能なことを確認した。しかし植栽の密度が低い場合は誤差が大きくなった。更に,横滑りも含めた速度ベクトルを測定する可能性を確認した。
光トランスポンダによる位置測定については,一方向に限っての,拡散光による高精度の距離測定は可能であり,標準誤差は約3cmであった。しかし全周方向の測定器では方向による位相ずれが生じ,これを調節する必要があった。全周方向での測定では,日射量が少なければ,標準誤差は約5cmであった。日射量が多い時には,測定可能距離が短くなり,測定精度も低くかった。信号増幅等改良の必要がある。固定局2局と車載した移動局による位置測定は可能であったが,温度ドリフトの問題が残された。
オプティカルフローによる移動ベクトル検出については、ハフ変換を用いることで計算時間を短縮した2つのプログラムを作成した。一回の計測のための計算に要する時間は,約0.3sであり,従来の二次元相関法に比べて大幅に短縮された。移動距離に対する移動ベクトルの測定誤差の割合の平均値は約5%であった。測定範囲は今回の設定では,DX,DY各±30mm以内であり、リアルタイム測定には更なる改良が必要である。
【研究代表者】