氷惑星内部でのアミノ酸重合と不斉増幅の可能性を探る
【研究キーワード】
高圧 / アミノ酸 / 不斉増幅
【研究成果の概要】
本研究は、高圧条件でのアミノ酸の重合実験、生成物の構造解析、分子シミュレーションによるペプチドの立体構造と安定エネルギーの解析を繰り返しながら研究を進めていく。
光学異性体を持つアミノ酸の二量体にはLL, LD, DL, DDの組み合わせがあり、LLとDDは鏡像異性体である。地球外のアミノ酸はわずかにL体が過剰であるためLLはDDよりも多く存在しうる。これらの2量体にアミノ酸LとDの混合物が重合する過程で不斉濃縮が起こりうるかを観察していくのが本研究の概要である。
このような研究目標を達成するためには、高圧で得られた回収試料に含まれるペプチドのアミノ酸配列を精度良く定量分析することが必要である。
当該年度はアミノ酸の2量体、3量体について、異性体を厳密に識別してそれぞれのペプチドを定量分析する手法の開発に取り組んだ。先述したように二量体にはL体、D体を考慮すると4つの異性体がありうる。一方、3量体は8つの異性体が存在しうる。これらのペプチドの標準試料を固相ペプチド合成法で合成し、キラルカラムを装着したLC-MSで定量分析を試みた。クロマトフラフィーの保持時間で二量体、三量体の異性体を識別できるかを確認したが、いずれの試料についても一部のペプチドはLC-MSの条件を最適化しても分離が不可能な異性体が存在した。そこで、L体アミノ酸を重水素でラベリングすることで全てのペプチドが分離できるという着想を得て、実際にその手法を分析に取り入れて測定の可能性を検討した。既に定量分析が可能であることが明らかになり、早期に研究発表に進んでいきたい。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
三村 耕一 | 名古屋大学 | 環境学研究科 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
奈良 雅之 | 東京医科歯科大学 | 教養部 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】挑戦的研究(萌芽)
【研究期間】2021-07-09 - 2023-03-31
【配分額】6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)