ラマン分光法を用いた化石軟体動物の色素起源物質の探索と模様復元
【研究キーワード】
生体色素 / 軟体動物 / 色彩パターン形成 / 捕食 / アンモナイト / 分光分析 / 模様形成
【研究成果の概要】
動物の模様の進化史についての理解は、視覚による選択圧や生物の環境応答を考える上で不可欠である。地質時代において、体表面の模様が最も保存される可能性があるものは、有殻軟体動物の貝殻である。実際に貝殻に“色彩パターン”の残る化石も少なからず報告されているが、それが生時のものであり、二次的な沈着ではないという証明が不可欠であった。それには、こうした貝殻上の色素の分子構造を理解し、その存在を客観的に判別できる分析法の確立が急務であり、この識別法の確立によって初めて、動物の模様の進化がいかに始まったかの鍵となる情報を得ることができる。貝殻色素にはその構造によりいくつかの種類が知られているが、それらについて加熱実験を行い、分光分析での時間的・条件依存的なスペクトル変化を追跡した。その結果、生体色素はその種類によって様々な熱耐性および熱変性パターンを示すことを明らかにした。また、中生代をはじめとしたいくつかの産地における堆積環境に関する考察を進めた。
貝殻色素の変性過程の理解には、色素と結合・相互作用する、あるいは有機物の変性過程の指標となるような貝殻タンパク質に関する理解が不可欠である。こうした貝殻タンパク質やその発現遺伝子解析は主にいくつかのモデル生物で進められているが、非モデル生物での報告は途上である。そこで、有殻頭足類やその他の有殻軟体動物を用い、変性の指標となる貝殻タンパクの特性およびそれらの時空間的・条件依存的な変化に関する評価研究を進めている。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
鍵 裕之 | 東京大学 | 大学院理学系研究科(理学部) | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)