貝穀形成に関わる遺伝子の網罹的探索:軟体動物ゲノムプロジェクトに向けて
【研究分野】層位・古生物学
【研究キーワード】
進化 / 発生・分化 / 動物 / ゲノム / 遺伝子 / バイオミネラリゼーション / 形態形成 / 軟体動物 / 貝殻形成 / 発生進化学 / 発生遺伝学 / Lymnaea
【研究成果の概要】
本計画では,(1)貝殻形成のマスター遺伝子,(2)貝殻分泌の制御因子,(3)貝殻の左右非対称性の制御因子の単離・同定と機能の解明を通して,貝殻の進化過程や進化機構を考察することを目的とした研究を行い,以下の成果を得た.
(1) 殻体形成のマスター遺伝子
転写調節因子engrailedと分泌成長因子dppのモノアラガイでの相同遺伝子の発現パターンを調べた結果engrailedは他の軟体動物と同様に貝殻腺の周縁において発現している一方で,dppはカサガイとは異なり,陥入している貝殻腺の右側で発現していることを発見した.
(2) 貝殻分泌の制御タンパク質
モノアラガイを含む有肺類8種から貝殻基質タンパク質ダーマトポンティンを同定して系統解析を行い,有肺類の中で少なくとも2回独立に遺伝子重複が起きたこと,化石記録との比較からその重複は中生代以降に起きたことを明らかにした.また,アコヤガイでは,著しくアスパラギン酸に富んだ超酸性貝殻基質タンパク質アスペインの構造を明らかにし,アスペインがカルサイトの選択的沈殿の制御因子であることを発現パターンの解析とin vitroの結晶成長実験によって示した.
(3) 巻貝の巻きの制御因子
モノアラガイの左巻き個体の外套膜の左側と右側で非対称的に発現している遺伝子をHiCEP法を用いて網羅的に探索し,合計11588個の遺伝子が外套膜で発現していること,また左右で発現量が有意に異なる遺伝子が数十に及ぶことを示した.左右で大きな変動を示す20個の遺伝子について,その構造と機能の解析を継続して行っている.
【研究代表者】
【研究分担者】 |
倉谷 滋 | 理化学研究所神戸 | 発生再生科学総合研究センター | チームリーダー | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(S)
【研究期間】2003 - 2007
【配分額】106,210千円 (直接経費: 81,700千円、間接経費: 24,510千円)