太平洋域における海洋プレート浅部の地震波速度異方性構造の実体解明
【研究キーワード】
海洋性地殻 / 異方性構造 / 太平洋域 / ハワイ / レシーバ関数 / 太平洋 / カスカディア沖 / ハワイ沖 / 海洋プレート浅部
【研究成果の概要】
本研究の目的は、引き続き、太平洋域に設置された海底地震計で取得されたデータを使って、海洋性地殻の異方性構造を推定することである。昨年度は、ハワイ沖で取得されたデータを用いてレシーバ関数を計算し、signal-to-noise比の高いデータを選択した。今年度の目的は、このレシーバ関数の中から、海底堆積物の底やモホ面でP波からS波に変換したPs変換波を探索することである。
比較的質の良いレシーバ関数を得られたのは17観測点である。そのうち、ハワイ島の南東側では3観測点でラグタイム2秒と4秒あたりにPs変換波が確認できた。おそらくこの2秒が堆積層の底、4秒がモホ面に相当すると考えられる。北東側では0.5-1.0秒あたりに5観測点のうち3観測点でPs変換波が確認できたが、それより深部では複数の観測点に共通したPs変換波は見られなかった。南西側では9観測点のうち、2観測点で2秒あたりに、3観測点で4-4.5秒あたりにPs変換波を確認することができた。
上記のように、場所や観測点によってPs変換波の抽出具合が大きく変化するという結果になった。これは、おそらくハワイ周辺では、堆積層の底やモホ面での速度変化量が空間的に大きく変化しており、その影響でPs変換波の確認できる場所も変わったと考えられる。
本研究ではS波異方性構造の推定を目的としているが、そのためには堆積層の底とモホ面からの両方のPs変換波の抽出が必要である。今回の解析結果から、それらの抽出が困難であったため、異方性構造の推定には至らなかった。
【研究代表者】
利根川 貴志 国立研究開発法人海洋研究開発機構 海域地震火山部門(地震発生帯研究センター) 主任研究員
(Kakenデータベース) 【研究分担者】 |
西田 究 | 東京大学 | 地震研究所 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2018-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)