Hardy空間と補間理論を用いる偏微分方程式の研究
【研究分野】解析学
【研究キーワード】
双曲型保存系 / Navier-Stokes方程式 / 半線型熱方程式 / 初期値問題 / distribution / Morrey空間 / 安定性 / 自己相似
【研究成果の概要】
1.空間1次元における伝播速度無限大の2×2双曲型保存系の連続な大域解の一意性
空間1次元における2×2双曲型保存系は,一般には連続な解を持たず,いわゆる弱解の範囲にしか解を持たないことが知られている.この保存系が連続な大域解をただ一つ持つためには,伝播速度が有限の場合には,初期値がある種の単調性をみたすことが必要十分であることが知られているが,伝播速度が無限大の場合の条件は知られていなかった.この論文では伝播速度が無限大の場合には,上の単調性のみでは一般には解は一意的には定まらないことを示し,さらに解が一意的に定まるための,初期速度の増大度に関する必要十分条件を与えた.
2.全空間におけるNavier-Stokes方程式及び半線型熱方程式の初期値問題
全空間におけるNavier-Stokes方程式及び半線型熱方程式の初期値問題を,Radon速度にならないdistributionを含むような広い函数空間で考え,時間局所的な一意解,および時間大域的な一意解を持つための十分条件を考え,結果としてRadon速度にならないdistributionを初期値とする上の方程式の解が存在することを示した.また,適当なMorrey空間に属するNavier-Stokes方程式の定常解が十分に小さいとき,その定常解はもとのMorrey空間で安定であることを示した.応用として,Navier-Stokes方程式及び半線型熱方程式の,新たな自己相似解のクラスを構成した.
【研究代表者】