K中間子深束縛核探査実験
【研究分野】素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理
【研究キーワード】
K中間子 / カイラル対称性 / 高密度核物質 / 静止K反応 / 中性子測定 / ストレンジネス / 中性子星 / トライバリオン / 中性子量 / 静止K^^-反応 / 静止K-反応 / スレレンジネス / 束縛状態 / 分光 / 飛行時間計測 / カイラス対称性 / E471 / 超高密度 / カイラル対象性
【研究成果の概要】
K中間子が強い相互作用により原子核に深く束縛された状態の発見を目的とし、4^He(静止K^-、n)反応を用いて、束縛状態の同定および、束縛エネルギーと吸収幅の決定を目指した。このK中間子核ではK中間子が周りの核子を引き寄せ密度が通常の原子核より高くなり、大きな束縛エネルギーを得ると考えられ、崩壊チャネルが限られ狭い状態幅が期待された。我々はKEKにおいて、KEK-PS E471, E549そしてE570という一連の実験を行った。
(K^-, n)スペクトル上には、当初理論で予想された束縛エネルギーの領域に、予想程度に狭い巾かつ収量では生成されない事が分かった。上記の予想を与えた理論と矛盾した結果であり、理論に修正を迫るものである。
4^He(K^-, p)反応を用いた(K^-pnn)系の探索であるが、これはE471で副産物そして得たデータと、それを主目的として行ったE549実験で異なる結果を得た。E471実験では統計的に8σ以上の有意なピークを3117MeV/c^2に観測したと報告を行ったが、遙かに統計・分解能をあげてデータを収集したE549実験では対応する場所にピークは観測されなかった。この相矛盾する結果はE471実験セットアップが元々この反応チャネルを計測するのに不向きであったために、解析過程における予見できないバイアスがスペクトル上にピークを形成してしまったためであると考えられる。E549実験の解析により、とくに幅の狭い状態に対しては厳しい収量上限を得た。
静止K中間子吸収反応においてはその約20%が、生成時に多核子吸収を起こすことが知られているが、特に幅の六きなK中間子核の探索においては、この理解が必須である。E549/E570実験の大量のデータから、∧/Σ等のハイペロンと、p/nなど核子とのエネルギー・角相関を測定することに成功した。とくに、∧dnの三体系の測定では、完全にexclusiveな測定を実現して、幅の広いK中間子核状態探索への道を拓いた。3Heとさらに軽い核を標的として、K^-pp系の生成・崩壊の完全実験をJ-PARCで実施予定である。
【研究代表者】