人工知能(AI)によるデザイン創作と法的保護-デザイン概念の変化も含めて-
【研究キーワード】
AI / 人工知能 / デザイン / デザイン保護法 / デザイン概念 / 法的保護
【研究成果の概要】
本年度は、研究計画調書記載のように、法学チームとデザイン学チームのそれぞれで研究を遂行した。
法学チームは各国のAI創作デザインの法的保護の現状分析を行った。その成果は翌年度に公表予定である。また、AI創作デザインの前提となる生データ等の独占の問題について、その中心的存在となりうるデジタルプラットフォームの責任の問題も含め検討を行った。当該成果については、現在論文投稿中(査読中)である。その他、AI創作デザインとして最も容易にAI創作が可能であると考えられる画像デザインについて、現在の日本の知的財産法による画像デザインの保護についても検討を行い成果として公表した。
デザイン学チームは、プロダクトデザインやアプリデザインなど様々なデザイン分野について、AI創作デザインに伴うデザイン概念の変化およびAI創作デザインの保護ニーズの調査を行った。また、AI創作芸術によって、芸術概念が変容しているのかの調査も行った。さらに、AIによるデザイン創作過程においてどのような技術的な問題が生じ得るのかについても調査を行った。視覚的表現を主体とする一般ユーザ向けデザイン創作においては、GAN等を利用すればよいが、一般的なデザイン創作においては必ずしも画像生成支援は必要ではない。特にデザイナーを対象としたデザイン創作支援においては、既存価値観からの脱却も重要な要素であるため汎化したDNN技術だけではデザイナーにとっては不満が残ることが明らかとなった。これら調査からデザイン創作支援において、デザイナーに特化した容易なデータセット開発手法と、画像支援にとらわれない柔軟なニューラルネットワークの設計が重要であることが明らかとなった。
【研究代表者】