ラオスにおける水環境汚濁の予防を目的とした統合的な参加型水環境管理システムの構築
【研究キーワード】
水環境 / 生態系サービス / InVEST / 土地利用計画 / 水利用 / エージェントベースモデル / 参加型水環境管理 / 環境教育
【研究成果の概要】
本年度も渡航はできなかったため,新規に現地での観測データの取得はできなかった。しかし,生態系サービス評価モデルであるInVESTの適用については現地機関から土地利用データ,気象データの提供に基づき実施し,2021年度農業農村工学会にて成果発表を行った。また,生態系サービスの評価については,比較のため日本国内での研究の実施を,若手研究者である大倉氏と共に進めた。ビエンチャン市同様の湿田地帯で,都市化が進行した印旛沼流域で同様の研究を実施した。特に,水配分についてはモデル開発を進めると同時に,水田を活用したグリーンインフラストラクチャーとしての活用,水質浄化の定量化に関する研究を実施した。この結果を,次年度ラオスのビエンチャン市に適用する予定である。
また,参加型水管理に向けたステークホルダーの意識評価について,若手研究者の堀切氏と共にウェブを活用したアンケートを実施した。ラオス国立大学の学生及び教職員を対象に。2021年8月~11月にかけて水環境に関する意識を探る予備調査として23項目のアンケート調査(n=51)をオンラインで実施した。その結果を東京農工大学の学生及び教職員(n=56)を対象に同様に行ったアンケート結果と比較したところ,水不足及び水質に関するトラブルの経験や,農業用水の水質改善の重要性に関する知識において,ラオスの方が高い傾向にあった。このことから,ラオスの農業用水を取り巻く環境の変化がそこに住む人々の意識と結びついていることが推察された。今後,先方の大学や行政機関に参画してもらい,現地での水環境保全の意識調査を実施する。
【研究代表者】