経営工学における知識情報処理に関する研究
【研究分野】社会システム工学
【研究キーワード】
知識情報処理 / 情報理論 / 経営工学 / 推論 / 学習 / 不確実性 / 機械学習 / 決定理論 / 符号理論 / 意思決定システム / 知識処理 / 人工知能 / 学習理論 / 統計的決定理論 / 計算量理論
【研究成果の概要】
近年,曖昧性や矛盾を含んだ知識の推論や学習等の,より人間的で複雑な判断をめざした新しい知識情報処理の基礎研究も様々な分野で盛んに行われている.しかしながら従来の論理学を中心としたエキスパートシステムに比べて基礎理論が不完全であり評価基準も不明確であるため得られる結果が理論的に明快に保証されずシステム化が進んでいないのが現状である.本研究ではこれら新しい知識情報処理のために今までの個別的な研究ではなく,人間や組織における判断で取り扱われる情報に着目した統一的な基礎理論の構築をめざしている.そして,その基礎理論上で個々の新しい知識情報処理の分野でネックとなっている基本問題について情報理論,統計理論的尺度から最適なアルゴリズムをいくつか提案し,さらにこのアルゴリズムを応用した知識情報システムの評価を行うことを目的とした.
各研究者は主に以下の分担で研究を行った.研究代表者は主として情報の基本的性質に立脚し,情報理論及び符号理論を基本として情報の高信頼化,圧縮の基礎的研究を行うと共に分担研究者それぞれの情報にたいする視点をとりまとめ総合的に知識情報処理問題の考察を行った.研究分担者(石渡)は主として人間や組織における判断に必要となる情報やその判断の機構について基本的視点から考察すると共に,現在の意思決定システムの問題点及び将来像から打開しなければならない本質的問題を抽出し情報的視点から整理を行なった.研究分担者(松嶋)は主として従来型の知識情報処理の基礎理論である論理学だけでは取り扱えない新しい知識情報処理の問題点を整理し,情報理論,統計確率理論,決定理論など情報の基礎理論からの意味づけとモデル化を行った.
さらに研究代表者と研究分担者がそれぞれ個別に研究を進めてきた情報に対する視点をまとめ,相互に意見交換することにより,現在及び将来の知識情報処理の基本問題を情報的視点より整理し,新しい基礎理論体系の枠組みの設定を行なった.また,この新しい基礎理論体系の枠組みをさらに洗練化させ,情報の視点から整理された新しい知識情報処理の為に重要ないくつかの基本的問題に対してこの基礎理論のモデルを適用する事により,いくつかの情報的視点から評価基準を設定し,そのもとで最適なアルゴリズムを提示した.また,経営工学やその周辺領域で今後必要となる将来型の知識情報システムにおける上記アルゴリズムの応用についての考察も行った。
【研究代表者】