コミュニケーションにおける身体・自己に根ざした表現力を育成するための方法論の構築
【研究分野】認知科学
【研究キーワード】
メタ認知 / コミュニケーション / 身体性 / 自己 / 言語的意識 / 熟達 / 暗黙知 / 身体知 / 熟達・学習
【研究成果の概要】
コミュニケーション研究において、参画する人が自ら表現を醸成するプロセスの研究はほとんど行われてこなかった。人は、必ずしも表現したいことを明確に意識しコミュニケーションするわけではない。むしろ場において次第に表現が醸成されてくる場合が多い。完成開拓の様々な課題や、身体的技を向上させる課題において実験を行った。感性開拓課題としては、居心地探求、服飾デザインの探求、風景描写文章表現の模索、絵画表現などを行った。また、身体技獲得課題としては、ダーツ投げ、野球打撃などの実験を行った。身体技獲得プロセスは本研究とは無関係に見えるが、実は深い関係にあることが判明したことも研究成果である、メタ認知を続けることにより到達する境地は、心、身体、環境の関係性を探ることにある。コミュニケーションの目的のために表現を醸成するプロ説と、認知科学的に同じ構造を持っている。
3年間の研究成果として以下の結論が得られた。
(1)メタ認知は、思考、身体、環境に潜む変数と変数関係の発見を促し、問題意識の向上、表現量の増大、言葉にできる部位や事柄の詳細化、質の向上につながる。
(2)メタ認知において重要なのは、思考の言語化だけではなく、環境と身体を結ぶ五感を言葉にすることである。特に、聴覚、触覚、臭覚、味覚など、身体で環境に直に背する様相の意識が重要である。
身体運動を伴う課題ではビデオなどの外部計測をメタ認知活性化のツールとして利用する方法論の探求が急務である。身体や身体と環境の関係の中に重要変数を発見することがメタ認知活性化の髄であり、そのためのツールとして映像表示ソフトウェアの開発が今後重要になる。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2004 - 2006
【配分額】3,600千円 (直接経費: 3,600千円)