マルコフ性を有するカオス拡散符号を用いた非同期DS/CDMAシステム
【研究分野】通信・ネットワーク工学
【研究キーワード】
CDMA通信 / スペクトル拡散 / 擬似乱数生成 / チップ波形 / マルコフ連鎖 / 波形整形フィルタ / FIRフィルタ / ウェルチの下界 / 情報通信工学 / 無線通信方式 / 移動体通信 / 暗号・認証等 / 確率論 / 非同期DS / CDMAシステム / スペクトル拡散符号 / 独立同分布 / 同期捕捉 / ニューラルネットワーク / マルチユーザ受信器 / カオス力学系 / DS / スペクトラム拡散通信 / カオス系列 / i.i.d.2値系列 / スペクトラム拡散符号
【研究成果の概要】
従来,DS-CDMA通信では,シフトレジスタ回路によって生成されるGold系列やKasami系列がスペクトル拡散符号として広く用いられている.研究代表者らは,信号の到着遅延時間がユーザごとに異なる非同期CDMA通信の場合,1チップ以下の遅れは不可避であるとの立場から,チップ非同期CDMA通信の性能評価を行った.本年度は,ユーザ間干渉の総和値であるTSC(total square correlation)のチップ非同期版を定義し,その下界を与えた.チップ非同期版TSCは,スペクトル拡散符号に加えて送信パルスの形状に依存するので,従来別々に設計されていた拡散符号とパルス波形は,同時最適化されるべきである.パルス波形に関しては,単一ユーザによるBPSK通信用のレイズドコサイン波形がCDMAでもそのまま利用されている.レイズドコサイン波形は,シンボル間干渉ゼロを補償するナイキスト条件を満足するが,チップ非同期CDMA通信では,シンボル間干渉よりもユーザ間干渉により信号の劣化が起こるので,研究代表者らはナイキスト条件を緩和することを提案した.波形と拡散符号の同時設計を行い,帯域外エネルギーがレイズドコサイン波形に等しくなるように調整したガウス波形とカオス力学系に基づくマルコフ符号の組み合わせが,従来のレイズドコサイン波形とシフトレジスタ系列の組み合わせよりも,ユーザ間干渉を下げることを示した.ビット誤り率に関しては,接続しているユーザ数が少ない場合は,ユーザ間干渉の減少よりも,ナイキスト条件を満たさないことによる信号の劣化度の方が強いので,ガウス波形とマルコフ符号の組み合わせの性能は悪いが,ユーザ数が多い通常のCDMAの運用環境では,この組み合わせの方が従来の符号と波形よりも優れていることを,理論的に示すとともにシミュレーション実験により確認した.
【研究代表者】
【研究分担者】 |
大濱 靖匡 | 徳島大学 | 工学部 | 教授 | (Kakenデータベース) |
實松 豊 | 九州大学 | 大学院システム情報科学研究院 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2003 - 2006
【配分額】6,800千円 (直接経費: 6,800千円)