個人の筆記のくせを反映した手書き風文字フォント自動生成の研究
【研究分野】情報通信工学
【研究キーワード】
画像処理 / パターン認識 / 個人性特徴 / くせ / 文字 / フォント / 標準文字 / 対応点探索 / 個人のくせ / 文字画像処理 / 特徴抽出 / エネルギー汎関数
【研究成果の概要】
近年のワープロの普及により,誰でも美しい文字を書くことができるようになったが,その一方で,画一的なフォントに不満を抱いている人間もまた多く存在している.もし,個人のくせを反映した文字フォントが作成できれば,コミュニケーションにいくらかの暖かみを加えることができるであろう.そのような考えのもと,本研究では,ユーザーがペンを用いて書いたときの個人のくせを反映した任意の文字フォントを自動的に生成する手法を提案した.具体的にはまず,ユーザーに筆記してもらった文字群(100文字程度)をイメージスキャナにより計算機に入力する.計算機には既に標準となるペン字体フォント(数体)が内蔵されている.そして,その標準文字フォントと入力文字との間でいかなる幾何学的変形(歪み)およびスケール変換(大小の変化)が行われているかを解析し,ユーザーの個人のくせを抽出する.この文字変形ルールを逆に標準文字フォントに付加してやれば,任意の文字種に対して個人のくせを反映させた文字を自動的に生成できる.
提案するアルゴリズムを実装した「くせ文字フォント自動生成システム」を開発し,性能評価を行った.ここでいうシステムとは,スキャナで取り込んだ手書き文字から個人の"くせ"を抽出し,それをもとに,キーボードで入力した文字に対して個人の"くせ"を反映させてディスプレイ表示するかあるいは印字できる装置を指す.実際に多数の被験者(数十人)に筆記してもらった手書き文字から,その被験者らのくせを反映した文字フォントを出力し,目視による比較や定量的な検討をおこなうことで,そのアルゴリズムの有効性を確認した.
また,研究成果は新聞・雑誌等に数多く紹介された.さらに,成果は直ちに企業へ技術移転され,平成15年2月にソフトウェアの商品として販売開始された.
【研究代表者】
【研究分担者】 |
斎藤 英雄 | 慶應義塾大学 | 理工学部 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2001 - 2002
【配分額】2,300千円 (直接経費: 2,300千円)