エンハンサーの遺伝的発現制御の解明による免疫疾患解析
【研究キーワード】
エンハンサー / 遺伝子発現 / ゲノム医療 / 遺伝多型
【研究成果の概要】
本研究では免疫疾患の原因として重要なエンハンサーに注目し、我々が開発した新技術を用いて免疫疾患に重要なリンパ球細胞株におけるエンハンサーを高感度に測定して遺伝多型依存的エンハンサー制御地図を作成し、全ゲノム関連解析(GWAS)結果を解釈しての免疫疾患の治療標的同定を目的とする。一塩基多型に注目したGWASは疾患関連遺伝領域を多数同定してきた。関連シグナルの多くが非翻訳領域にあり、遺伝子発現制御に関わる(eQTL)と考えられているが、解釈は不十分である。遺伝子発現制御は細胞種依存的で、疾患に重要な細胞のeQTL情報が治療開発に役立つ。エンハンサーは遺伝子発現を対象から離れた位置より細胞特異的に制御する機能領域であり、免疫疾患の感受性多型が著しく集積する。eRNA発現量は定量困難であるが、我々は高感度に定量可能な新技術を開発した。本技術で、免疫疾患に重要であるリンパ球の細胞株を用いて定量し、機械学習を用いた手法と組み合わせてエンハンサーのeQTL地図を作成する。地図を用いて免疫疾患GWAS結果から疾患原因として決定的なエンハンサーを含む発現ネットワークを同定し、治療対象として提唱する。
今年度は、LCLのRNA抽出, NET-RNA抽出をほぼ完了した。さらに個人別遺伝子発現変動に影響を与えないレベルのindex デザインを行った。そのindex デザインを基にtotal RNA sequenceを押し進め、データ解析を行った。その結果、既報のeQTLデータの結果の多くが再現できる、質の高い結果が得られた。さらに CAGE sequence データの作出に取り掛かった。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】2020-04-01 - 2024-03-31
【配分額】45,110千円 (直接経費: 34,700千円、間接経費: 10,410千円)